なぜ中小病院に電子カルテが導入進まないか

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■電子カルテ導入率の実際

確かにグラフが示すように病床数が少ない病院ほど導入率が低いことが分かります。(出展JAHIS)

実際に色々な規模の病院に電子カルテを導入している立場から考えると、大規模な病院の方が扱っている診療行為や関係する部署も多く患者も多い事から費用対効果が大きいと考えられます。逆に中小病院は扱っている診療行為も限定的で患者数も大病院ほどは無いため費用対効果が少ないという事になります。

またCT、MRIなどの検査機器は高額ですが、検査を行うと診療報酬で回収可能です。中小病院でも検査の数が多く出そうであれば投資価値はあります。しかし電子カルテはそうではありません。

 

■電子カルテ導入のメリットとは

では電子カルテ導入のメリットとは何なのでしょうか?

・カルテを探さなくても良い(情報共有)

・医師の指示が各部門にすぐに伝達される(患者の待ち時間減少)

・字が読みやすく医師の指示が明確(医療安全)

などがあります。確かに中小病院ではインパクトが弱いかもしれませんね。

 

■期待していた電子カルテは

初めて電子カルテを導入するユーザーは下記のことを期待しています。

・色々な統計が取れたり学会に必要なデータを自由に抽出できる。

・無駄な紙が無くなる。

・問診や検査所見から自動で診断される。

・様々なチェックで人のミスを未然に防ぐ。

しかし導入してみるとほとんど期待はずれなのです。

日本の電子カルテはどちらかと言うと医事会計にデータを伝達するのがメインのシステムです。

・統計を取るには別のシステム(DWH)を購入する場合が多い。

・電子カルテ化とペーパーレス化は別次元の問題。

・電子カルテメーカーは診断には手を出したくない。バグで診断ミスが起こったら大変なので。

・チェックは出来るが病院側でマスタ設定を行って実装。メーカーが側で準備すると設定ミスの際大変なので。

というのが現実です。なので、導入の際医師に電子カルテには失望した!と言われます。

 

■でも一度導入すると戻れない

電子カルテを初めて入れる際に医師に入力が大変だとよく言われます。

しかしシステム障害等で手書き運用に戻ると処方箋等の薬名を手書きするのがいかに大変だったかわかります。

確かに毎日何十人もの患者を見ている医師は手書きに戻ると大変ですよね。

 

今現在は何処のメーカーの電子カルテも状況は同じで似たり寄ったりです。価格競争が激しくなっていますが今後どのように進化していくのか見ていきたいと思います。

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